1. 授業や制作など
3月は、「タイポグラフィ」と「ストーリーの再解釈」という2つの授業を受講しました。どちらも学部1年生向けの授業で、基礎的な内容が中心でした。初めて挑戦する分野でしたが、丁寧な説明があったおかげで、なんとか理解することができました。
タイポグラフィの授業は、講義と実践が交互に行われる形式です。タイポグラフィに関する用語を学んだ後、課題を通して実際にそれを応用します。授業時間は9時半から16時までと長時間ですが、集中力が途切れそうなタイミングでコーヒーブレイク(チャイ・ブレイク?)が挟まれるため、日本で複数の講義を1日や週のうちに受けるよりも、インドのように一つのテーマに数週間集中できる授業スタイルの方が、自分には合っていると感じました。
実践課題では、ランダムに与えられたフォントを模写するものや、自分で選んだ素材を使って文字をデザインする課題などがありました。私はチョコレートの包み紙を素材に選びましたが、「普段は気に留められず捨てられるゴミの雰囲気」と「文字の可読性」を両立させることが非常に難しく、試行錯誤の連続でした。
「ストーリーの再解釈」の授業では、有名な神話や童話などを、さまざまな登場人物の視点や語り口で書き直すというエクササイズに取り組みました。インドの神話や昔話が多く題材として取り上げられたため、背景や文化的文脈の理解が難しいものもありましたが、非常に興味深く、楽しみながら学ぶことができました。
中でも印象的だったのは、男女のグループに分か れ、それぞれの視点で物語を再解釈するという実験的な取り組みがあり、ジェンダーの違いによってどのような解釈の差が生まれるのかを体感することができました。このように、ただ物語を読み直すだけでなく、他者の視点を通して物語を捉え直す経験は、とても新鮮で学びの多いものでした。
2. 暮らし
日常生活では、特に大きな変化はありませんが、体がすっかりインドに適応してきたと感じています。以前はあまり口に合わなかった学食のこ飯も、今ではとても美味しく感じるようになりました。昼間は暑いため、活動ペースを落として昼寝をし、夜に活動時間を移すといった生活リズムも自然に身についてきました。
食事についても、以前は何でも試してみないと分からなかったのですが、最近では自分の苦手な食材がだいぶ分かってきたので、注文の際にはスタッフの方に「これは入っていませんか?」と確認できるようになりました。
さて、3月もインドではいくつかのお祭りがありました。中でも「ホーリー」は一年の中でも特に大きなお祭りだそうで、とても印象に残っています。IDCでは例年、校舎でホーリーを祝うそうですが、今年は校舎を塗り直したばかりだったため、代わりに有志の方々が1泊2日の小旅行を企画してくださり、私もそれに参加しました。
驚いたのは、集合・出発がまさかの夜中3時だったことです。それにもかかわらず、学生たちはバスに乗り込んだ瞬間から全力で盛り上がっていて、私はその元気さをBGMにしながら眠りにつきました。が、3~4時間後に目が覚めても、彼らはまだ騒いでいて、その体力には本当に感心しました。
目的地に到着してからは、カラフルなチョークの粉のような色素をお互いに塗り合ったり、水風船に入れて投げ合ったり、プールに飛び込んだりと、全力でホーリーを楽しみました。
宿泊は山間のキャンプサイトで、小型のテントに3人でなんとかギリギリ寝たり、水道水が出なくなって‘'シャワー難民’'が続出したりと、日本の旅行とはまったく違う体験でしたが、それがまた面白く、旅行中はずっと笑っていたように思います。
3. 現地の様子
3月のインドはさらに気温が上がり、半袖でも外で過こすのが厳しくなってきました。ここからさらに暑くなると聞いて、正直なところ少し気が重いです。
それでも、ムンバイの街は相変わらず活気にあふれていて、クリケットの試合がある日はスポーツバーがとんでもない熱気に包まれます。一方で、暑さを避けて空調の効いた屋内で楽しめるアクティビティ(映画鑑賞やアート展示、室内遊園地など)も人気が高まっているようです。
4. トラブル
実は、3月後半はほとんど体調を崩しており、精神的にもかなり落ち込むなど、私にとってはとても厳しい時期でした。あまり寮から出られず、授業も休むことが多かったです。
体調が最も悪かった時には、留学を途中で切り上げて帰国することも真剣に考えました。ただ、「せっかくここまで来たのだから、やり遂げたい」という思いと、卒論のための現地調査をどうしても進めたいという気持ちもあって、なんとかギリギリのところで滞在を続ける決断をしました。
ホームシックというわけではなかったのですが、胃腸への負担や心の安定を考えると、日本食や食べ慣れたお菓子を持ってくることの大切さを改めて感じました。日本のお菓子のやさしい甘さや、出汁のほっとするような温かみは、インドではなかなか代わりがききません。
5. 語学力
以前に比べて英語での会話には少しずつ慣れてきましたが、インドに来たばかりの頃のような‘‘伸びを最近はあまり実感できず、少し焦りも感じています。
そんな中、デュオリンゴでヒンディー語の学習を始めてみました。簡単な会話の中では、ヒン ディー語の単語を使うこともあります。というのも、こちらでは英語が通じる人ばかりではないため、現地の言葉を少しでも知っていると助かる場面も多いからです。
留学期間も残り少なくなってきましたが、最後の追い上げとばかりに、積極的に語学力も伸ばしていけたらと思っています。