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Camberwell College of Arts 2025年2月マンスリーレポート(マンガ学部生)

1. 授業や制作など

私は今、BA illustrationコースの「Unit7」を受講しています。
UALでは、Unitという、短い学期のようなもので一年間がいくつかに区切られていて、Unit全体を通して指定された課題を完成させるという方式で授業が進んでいきます。

2月10日から3月17日までのUnit7では、Critical Practice Projectという授業の核となる課題としてFilmと Publicationの制作、制作過程や授業での学びをまとめるProject Presentation、更に詳しく制作過程やスケッチなどもまとめるPersonal Archiveの、4つの課題の提出が求められます。

これらの課題は、Unitが始まる初めの週に告知され、授業そのものはあくまでも、それらの課題を制作するための補助的な機会として進行します。

一週間のスケジュールは次のような感じです。月曜日:自主学習(授業なし)
火曜日:10:30〜15:30 課題に関連するWorkshopやTutorial(講評のような感じ、個人とグループがある)水曜日:自主参加のWorkshopや学生クラブの活動(授業なし)

木曜日:13:30〜15:30 セミナー
金曜日:10:30〜15:30 課題に関連するWorkshopやTutorial(講評のような感じ、個人とグループがある)

基本的には火木金が授業日で、火曜金曜は課題の作業や人と話して意見を得るような実習型の授業で、木曜日は講義型の授業があります。

授業や課題に関しては、特段に心配する必要はないように感じます。

火曜金曜の授業では、50人以下くらいの生徒に対して、先生の数は常に3〜5人、もしくはそれ以上であることも多く、また授業のレジュメや課題の指示書は、Moodleというセイカポータルのようなサイトやメールでとても詳細なものが届きます。

クラスは幾つかのグループに割り振られていて、それぞれに担当の先生がつきます。Tutorialでは、この担当の先生に課題の進捗などを見せて、アドバイスをいただきます。他の先生であっても、相談すれば快くのってくださいます。

それでも、話についていけなかったり、自分の作品について質問をされたときに上手く答えられなかったり、授業についていけていないなと感じる瞬間はあるのですが、少なくとも、置いていかれたまま何もできなくなってしまうような状況にはならないよう、サポートはしっかりしている環境だなと思います。

ただ、課題の量はとても多いです。セミナーなども抽象的な内容も多く難しい。

Unitの初めに課題が発表されるとはいっても、Unit7は4週間ほどしかないですし、何より精華での課題とは違い、作品だけではなくその過程で得た学びまでも、英語で詳細にまとめて提出する必要があるため、単純に考えて二倍以上の重さに感じます。

正直に言えば、課題に込めた意味やその過程で得た学びを、授業中の会話の中だけで英語で全てを伝えきる自信は全くないので、それを伝えるための準備期間があって、
Project PresentaionやPersonal Archiveも含めて作品を評価していただけるこの仕組みはとてもありがたいのですが、大変ではあります。

今がちょうど一番大変な大詰めの週なので、へとへとですが頑張ります。
週間時間割

映画館のようなセミナールーム

2. 暮らし

暮らしは、想像以上に「普通」です。

私の暮らしている場所は、Camberwell College of Artsの敷地内にある、Gardens Houseという寮です。

敷地内にあるだけあって、寮の10階の私の部屋から授業のある教室まで、3分ほどで辿り着くことができます。寮の中に入るためには、まず大学の校舎を通る必要があり、大学のゲートを通るためには学生証が必要です。またその後も、寮の住居スペースに入るために自室のルームキーが必要で、エレベーターに乗るにもルームキーが必要、しかも自分が住んでいるフロア以外に止まることもできず、フロアについてからも廊下に入るためにルーム
キーが必要、自室にもロックがかけられると、セキュリティーが煩わしいほどに安全です。

大学の入り口には職員さんがいて、寮の受付にも24時間職員さんがいらっしゃいます。

大学を出てすぐ、寮の建物の前には、Sain’sbury Localという、イギリスの大手スーパーの少し小さいお店があり、そのスーパーは年中無休かつ7:00〜23:00まで営業しているので、食料品や最低限の生活必需品の調達には困ることがありません。

キッチンは共有で、大抵5〜9人ほどの人で1つのキッチン、2つの冷蔵庫を共有します。

私のフラットには、現在7人の人が住んでいて、MAに通っている中国人の方が2人、BAの方が2人、私含め交換留学生の人が3人といった感じです。交換留学生の3人は、コースも同じBA illustrationで、一番初めに仲良くなることができたのでとても良かったです。それに加えて、MAの中国人の方のうちの1人が、日本語を話せる方で、初め寮のシステムに慣れるまでの期間に、とても助けられました。

このような点でも、同じ大学に通う他の生徒と出会える寮という環境は、とても良いなと実感しています。

水回りですが、この寮のほとんどの部屋はバストイレ付きの一人部屋で、清潔なものが使えます。ただ、お湯に関してはあまり期待しないでください。

洗面台は、お湯のマークがついているのにも関わらずキンキンの冷水しか出ませんし、シャワーも不調が多いです。水しか出なかったり、反対に熱湯しか出なかったり、1日だけずっと適温だったり、一番多いのはなぜか10秒おきごとくらいに水から熱湯へと変わっていきそれが永遠と続くパターンで、いつもおみくじ感覚でシャワーに入っています。
ウォシュレットや温かいトイレは当然ありません。
日本に帰りたいと思う一番の瞬間は、この水回りを使っているときです。
洗濯は、1階(グランドフロア)にあるランドリールームですることができます。

洗濯機が4台、乾燥機が5台あり、洗濯が£2.5、乾燥が£1.5で、一回約800円ほどです。操作はWashnetというアプリを使い、クレジットカードで支払います。現金は使えません。夜間、早朝は使用できないので、時間を選ぶ必要はあります。

ずっと洗濯ができないほどに混んでいることはありませんが、時々どれか1台が壊れていたりして混み気味です。

Washnetは洗濯機の予約もできるので、部屋でアプリと睨み合いをしながら予約を取らなければいけません。

宅配に関してですが、Gadens   Houseには寮の入り口にAmazonロッカーがあり、またその他の宅配物も寮の受付の方が代わりに取って保管してくれるので、大変便利です。私は初め、生活に必要なものやお米、日本食は、ほとんどネットで揃えました。
寮の外観


部屋からの眺め

 

到着直後の寮

共用キッチン

お部屋の雰囲気

最後に、お金の話です。
まずは寮に関するお金ですが、Gardens Houseは週に約£328もかかります。日本円にすると週6万円強、月に3 0万円弱です。交換留学生などの短期間の滞在者は特別に割高なので、ネットのサイトに書かれている以上の金額がかかります。ロンドンは物価も家賃も高いですし、これには光熱費やネットの料金も含まれているのですが、それにしても家賃が月30万円というのははちゃめちゃに高いです。

私の場合、寮の立地や安全さ、水道電気やインターネットの契約を自分でしなくていいことなどに惹かれ、住むことを決断し、実際にそのメリットを十分に実感してはいますが、これからUALに留学することを考えていて、その理由の1つに寮があるのなら、一度お金についてはよく調べて見てくださいね。

そしてその他の物価ですが、確かに外食は高いですが、スーパーや小売店のものの値段は、びっくりするくらい高いということはありません。

私の場合、一度の買い物が£15前後くらいで、週2、3回買い出しに行くので、大体月の食費が£120から£150くらい、多く見積もっても四万円くらいなので、日本の一人暮らしの1.5〜2倍ほど高いといったような感覚です。参考程度に、今月のSains’bury Localのものの値段を載せておきます。

鶏肉(320g) £2.5
同じくらいの量でも少し良いものだと£4〜5角切りベーコン(ミニパック2つ) £1.20
サーモン(一切れ) £2.95
牛乳(568ml) £0.85
卵(6個) £1.75
ミネラルウォーター(500ml) £1.45
ロールパン(4つ入り) £1.5ポテトチップス(130g) £1.5日清の袋ラーメン £0.65
その他野菜、フルーツなどは大抵£1.5〜3

紅茶のパックはびっくりするくらい安いです。コーヒーはあまり売っていない上に、そこまで美味しくなく、なのに高いです。おやつは日本より安いくらい。
日清のラーメンや焼きそばは、安くて美味しいものがスーパーでもたくさん売っています。

日本食は大抵揃えられます

自炊


フラットメイトとお鍋作り


3. 現地の様子

Camberwellは、やはりどちらかといえば、怖い街だと思います。

寮やカレッジのある場所は、CamberwellというよりはPeckhamという街の区分に近く、このPeckhamは比較的静かで、穏やかな感じなのですが、Camberwellの中心街に近づくほど、街並みは荒くなっていきます。  Camberwellも、明るいうちは一人で歩いていても特に問題はないのですが、夜は出歩いたらダメだなとお昼の景色を見ても思います。

Camberwellの中心街は、LIDLという大きなスーパーマーケットがあったり、マクドナルドがあったり、有名なドラッグストアがあったり、と何かと便利なのですが、必要な買い物は日中に済ませた方が無難です。

一度LIDLに向かっていたとき、前を歩いていたお兄さんが、道に立っていたキャッチの人にしつこい勧誘を受けていたことがありました。寮に帰ってからその場所を調べて見ると、カジノのお店だったので、これは本当に気をつけないといけないなと思いました。私自身が何か怖い目にあったということは全くありませんが、散策や買い物を楽しみつつも、多少の警戒心は常に持った上で暮らした方が良さそうです。

それはそれとして、カレッジ周辺の街並みはとても綺麗です。ビルの立ち並ぶロンドンの中心街とはまた違い、古き良き「ロンドンらしさ」を感じる建築の建物が多く、景色こそ全く違うものの、私はこの街に京都と同じような雰囲気を感じました。子どもがとても多く、日中はベビーカーとものすごい頻度ですれ違います。建物はもちろんですが、街路樹や標識、信号なども異国感が溢れていて、歩いていて楽しいです。

気候ですが、2月の前半は本当に曇り続きでした。2週間以上青い空というものを一度も見ませんでした。そんな曇りがち、小雨がちのロンドンですが、湿度は驚くほどにに低く、雨が降っていても晴れの日の夏の京都よりか  らっとしています。そのせいか、喉が常に若干のダメージを受けているので、是非のど飴を持っていってください。私は龍角散を持ってきましたが、正解でした。

後半から3月にかけては、晴れの日が増え、湿度の低さとそこまで低くない気温もあいまってとても快適です。京都であれば一年間のうちに数日しかない、奇跡的に過ごしやすい晴れの日が、何週間もずっと続いているような気候で、天候だけを考えれば、ずっと住んでいたいくらいです。

また、日没がとても早いことに注意してください。2月前半は特に、夕方5時を回ったあたりからもう真っ暗でした。空港到着から宿泊先までの移動の際、宿泊先への到着が夕方5時以降だと、少し危ないかもしれません。

大学近くの飲食店


4. トラブル

トラブルは主に、「空港でのタクシー勧誘」「火災報知器鳴りすぎ」「クレジットカード決済時の2段階認証」がありました。

初めに空港でのタクシー勧誘についてですが、空港のロビーでスマホのSIMを有効化していると「タクシー探してる?」と英語で男性に話しかけられました。男性の格好は、とてもラフなジャージにニット帽で、正直タクシーの運転手というふうにも見えず、かついわゆる白タクの存在は知っていたので、「いいや、電車で。」と短く答えました。そのときはすぐに引き下がってくれたのですが、その後正式なタクシー乗り場へと向かうためにエレベーターをまっていたら、また同じ男性がやってきて、「やっぱりタクシー待ってるんじゃないか!」と話しかけられました。困ったことに、このエレベーターがなかなか来ず、もしエレベーターに乗れたとしても二人きりで乗るのもどうかという状況で、かつそのときは私は24kgサイズのスーツケースを二つも持っていたので逃げることもできず、ここから5分くらいは言い合いが続きました。そのとき私は、自分がおそらく実年齢以上に幼く見られているだろうという自覚もあったので、ひたすらに「ちゃんとした乗り場からタクシーに乗れと先生に言われているんだ。今からその学校に行くから。もしあなたのタクシーに乗ったら、先生に怒られる。だから乗れない。」と言ったような感じのことを繰り返していました。途中、あなたはいわゆる黒タクシー(ブラックカブ)なのかと聞くと、彼は「そうだ。車を見ればわかる。ライセンスも見せられる。先生にはそれを写真に撮って送ればいい。」と答えていました。これは本当に良くないのですが、あまりのしつこさにつられて、「遠くから車を見るだけだ。」と言い少しの距離を彼について行ってしまいました。彼を7mくらい後方から見ていると、彼はタクシー乗り場ではない一般車の駐車場の方向へと進み、一台の黒い車のライトをつけました。確かに黒い車体ではあるのですが、タクシーらしい灯火も何もなく、ただの黒いバンにしか見えず、これはダメだと感じて「やっぱり電車に乗るよ!」と大声で伝えてから全てを無視して引き返しました。その後彼はすぐに車に乗り、走り去っていきました。本当にブラックカブだったのかどうだったのかの真偽は分かりませんが、その後に辿り着いた正式な乗り場には案内員さんもいましたし、他のブラックカブは全て一目で見てそうだとわかる装飾をしていました。もしあの車に乗っていたら、ぼったくりで済んだかどうかも分かりませんし、ライセンスを見せるだなんで嘘も、車に乗せてしまえば後はどうとでもできてしまいます。後に乗った本物のカブは、高額な料金に見合うサービスでした。空港のタクシー勧誘には本当に気をつけてください。

タクシー車内 とても広いです。

続いて火災報知器があまりにも頻繁になることについて。この一ヶ月でなんと8回ほど鳴りました。しかし実際の火事は一度たりとも起きていません。全て誤報です。昼夜とわず、本当に鼓膜が破れそうになるくらいの爆音が建物中に鳴り響きます。10秒くらいでやむこともあれば、何分も鳴り続けることもあります。一番ひどかったのは、深夜2時ごろに突然アラームが鳴って、それも10分間以上鳴り続けた時です。最初の2、3分で流石に今回は長いなと思い、一応外まで避難をしたのですが、実際に避難をしていたのはおそらく寮全体のうちの半数以下の人数で、みんなアラームが鳴ることに慣れてしまっている節があります。命が優先なので、一応毎回避難はしようとは思っているのですが、それでも初めの数分は様子を見るようになってしまったので、良くないなと思います。本当に火事があった時、誰も逃げなさそうで危ないなと感じます。

最後にクレジットカードの決済時の2段階認証についてですが、これが本当に盲点でした。これはクレカに限らず、アプリやサイトのログインの際にも必要なのですが、最近「電話番号(SMS)やメールアドレスにに何桁の番号を送信しました。それを用いて認証をしてください。」という2段階認証の仕組みがもはや当たり前になっています。この認証番号の送信先が、大抵の場合日本の電話番号、メールアドレスになるので、現地SIMを使っていると様々な場所でつまづきます。私の場合、eSIMでもないので、その度に手動でSIMを入れ替えるという力技で解決してきたのですが、いい加減スマホが壊れそうです。登録してある連絡先を変更するにも、まずその変更をするために認証が必要になったりするので、もし日本の物理SIMを日本に置いてきたりしていると、本当に詰むことになります。VISAは特に、3Dセキュアという独特の認証システムがあり、2段階認証は必須です。また、ゆうちょはそもそも日本の電話番号しか登録できず、変更することすらできません。カードは持ってきた、でも日本の電話番号がなくて認証できない、となるとタッチ決済以外の支払いが実質できないのと等しいので、番号を変更したり、切り替えやすいeSIMにプランを変更するなど対策が必要です。ゲームのログインなど、簡単に変更できるものもあるの  で、そういったものは事前に変更しておくことをお勧めします。

また、これはトラブルといったわけではないのですが、私以外の交換留学生に非英語ネイティブのアジア人が一人もおらず、特に初めの方は会話やその雰囲気に本当についていけず大変でした。今も少しその壁を感じています。ほとんどがアメリカかカナダからきた留学生です。英語を学ぶ観点で見れば、理想的な環境なのかもしれませんが、心細いなともやはり少し思います。


5. 語学の状況

英語についてですが、特に話すことに関して、まだまだ拙いところが多いです。ただ、長時間英語を聞き続けることには、以前より少し慣れたかなと感じます。

私の体感的な現在の英語レベルとしては、話すこと、特に大学の授業レベルの内容を伝えることに関しては、なかなか困るくらい、聞くことに関しては、抽象的な内容や専門的でアカデミックな内容は理解できないことも多いものの、先生からの質問や、ネイティブの同級生との一対一の会話、授業での課題指示は大まかであれば間違えずに理解することができるくらいです。

授業で登場する英単語は、今まで触れたこともないようなものであることも多く、とても勉強になります。また、ネイティブが多い状況というのは、その会話に混ざることには勇気が必要ですが、ネイティブたちは私の拙い英語でも意味を拾い上げて理解してくれるので、かえって話やすい環境でもあります。ゆっくりでも耳を傾けてくれる優しさに甘えて、トライしていけたらなと思っています。

V&A museum